なぜ NIGO® は Moncler と Mercedes-Benz とのトリプルコラボに挑んだのか | Interviews

わずか2日間のニューヨーク滞在中、NIGO®に『Hypebeast』が独占インタビューを実施

オート 
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2024年10月に上海で発表され、大きな話題を呼んだデザイナー NIGO®(ニゴー)による〈Moncler(モンクレール)〉と「メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)」のトリプルコラボレーション。“Moncler Genius(モンクレール ジーニアス)”の新プロジェクトとして披露されたのは、1990年代のGクラスのカブリオレをNIGO®が現代的に再解釈したアートピースだった。

そして2025年4月4日、ついに実際に購入可能な特別仕様車 “G-Class Past II Future(Gクラス パスト トゥ フューチャー)” と、アパレルライン “Moncler x Mercedes-Benz by NIGO(モンクレール x メルセデス・ベンツ バイ NIGO)” の限定アイテムが発売された。この “G-Class Past II Future” は世界限定20台で、日本にはわずか4台のみが割り当てられている。価格は3,000万円ながら、購入希望者が多く、抽選販売になったという話だ。

2025年4月3日(NY現地時間)には、今回のローンチを祝して、リニューアルオープン直前の「メルセデス・ベンツ」のアメリカ・ニューヨーク旗艦店でローンチパーティーが開催された。

『Hypebeast』は、このイベントのためだけに渡米し、翌日にはパリへと発つという超多忙スケジュールのNIGO®に話を聞く機会を得た。トリプルコラボの裏側と、そのこだわりについて、たっぷり語ってもらった。


“過去を振り返ることの大切さや、それによってできるプロダクトの力強さがある”
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Hypebeast:2025年=ニゴーの年としていくつものコラボレーションを発表されていますが、その中でもモンクレールとメルセデス・ベンツとのプロジェクトを引き受けた決め手は何だったのでしょうか?

クルマが好きというのもありますし、ベンツにはやりたいイメージがずっとあったんです。それが今回、完成したアートピースに繋がりました。話を聞いていくうちに、自分の好きなことをできる機会だなと感じたんです。僕の仕事において、遊びの延長としてできるかどうかが選ぶ基準になっています。依頼が来ても、よく分からないことには手を出さないようにしています。そうしないと、どこかで違和感が出てしまうので。

NIGO®さんはGクラスのオーナーとしても知られていますが、Gクラスにまつわるエピソードをお聞かせください。

ベンツのゲレンデ(Gクラス)は30台くらい乗り継いできました。モデルが変わる度に新しいものに買い替えていました。

今回は、長年乗られているメルセデス・ベンツに加えてモンクレールを含めたコラボレーションですが、両者に共通する価値は何だと思いますか?

どちらも老舗ブランドであり、憧れの存在でもあります。どんな時代でもフレッシュさを保ち、常に人々が欲しがるものを提供し続けている。それを実現できるブランドは稀です。

両ブランドが今に至るまで進化し続けているという点で共通していますね。

そうですね。どちらも最先端の技術を取り入れながらも過去と融合させています。古いものの良さってすごくあると思うんです。それを今の時代に蘇らせるという手法で僕も仕事をしているので、共感する部分が多いですね。

「Past II Future」という言葉には、そうした考えが反映されていますね。
はい。もともとHuman Made(ヒューマンメイド)の「The Future is in the Past」というキーワードから派生したものですが、時間が未来へと進んでいくにつれて、昔のやり方でものを作れなくなっていくのがもったいないな、とある時ふと思って。前を向きつつも、過去を振り返りながら、ものづくりの姿勢を理解することが大切だと考えています。今回もそのやり方にならって、モンクレールのアーカイブロゴを復刻させました。そのような過去にあったものをいくつか選び、時代感と合わせて違和感が生まれないように使用しました。

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クルマのデザインでは、リアのスペアタイヤに旧型のソフトカバーを採用したり、シートのチェックパターンにこだわりが見られますね。

初代ゲレンデのシートがチェックパターンで、それがすごくおしゃれだとずっと思っていたんです。レザーはレザーで良いのですが、やはりクルマは究極のおもちゃじゃないかなと。なので、ちょっと遊んでみました。

外観のツートンカラーに関しては、どういった理由から選ばれたのでしょうか?

両方ともすごく好きな色で、どちらかひとつに絞れなかったので(笑)。この車体のモデルがAピラーのラインに沿っていい感じに区切られていたので、思い切って2色使うことにしました。

特別仕様車には、NIGO®さんが特にこだわったディテールが詰まっています。特にお気に入りのディテールはありますか?

うーん、アートピース版のほうが、じっくりとこだわったかもしれません。ダウンの屋根を支えるフレームをゴールドにしたり、シートベルトをオレンジにしたり。これはM-1ジャケットの裏地をイメージしたものです。モノトーンで抑え過ぎると面白くないと思って、アクセントになる要素を加えました。

今回の特別仕様車は、世界20台限定とのことですが、Gクラスのユーザーを意識されましたか? それとも、より幅広い層に?

特に意識していたわけではありませんが、みんなが絶対欲しいと思えるものになったんじゃないかなと思います。実際に街で乗れるものにしたいという考えがありましたし、新しいものがどんどん登場して、古いものは潰されがちですが、あえて古いものの中に価値を見出す試みにしたいなと。必ずしもみんなが目新しいものを求めているわけではないと思うので。

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アパレルライン“Moncler x Mercedes-Benz by NIGO”に関しては、どのようなコンセプトで作られましたか?

70年代や80年代、いわゆるヒップホップが台頭し始めた時代のイメージが大きな柱にありますね。ベンツはそのカルチャーにおけるみんなの憧れの象徴で、ラッパーたちがレコードを出して売れたらベンツを買って、そのクルマと一緒に写真を撮って、レコードのカバーにすることがよくありました。その時代のカルチャー的な要素を反映させながら、クルマとアパレルラインをうまくリンクさせることを意識しました。

NIGO®さんがモンクレールのアパレルを手がけるのは初めてだと思いますが、実際にコラボしてみての印象は?

イタリアのものづくりでしょうか。実際にイタリアに行ってディレクションしていたので、モンクレールチームのデザインへのこだわりを肌で感じました。自分が思い描いていることを受け取ってくれたおかげで、ストレスなく、どんどん進めることができました。フランスとはまた違うやり方を学びました。

ファッション、カーライフ、ラグジュアリーといったキーワードが絡み合うプロジェクトですが、制作過程で意識したことや挑戦したことは?

80年代のヒップホップの世界観というテーマがハマったのでよかったです。最初はバラバラだったイメージも、制作を進めていくなかで最終的にうまくまとまりました。モンクレールとベンツ、両方のことをよく知っていたので、わりと自然に着地した気がします。

最後に今回のプロジェクトを通じて得た発見があれば教えてください。

過去を振り返ることの大切さや、それによってできるプロダクトの力強さでしょうか。こういうやり方があるんだということに、クルマだけでなく他のメーカーで気づかれた方も多いんじゃないかと思います。過去を尊重し、新しいものを創り出すというアプローチが今後増えてほしいですね。レコードやカセットのように、今では姿を消していくものが多いですから。古いものにはそれならではの良さがあります。そうしたものがもっと蘇っていくきっかけになればいいのではないでしょうか。

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